夕方、オレは校門の前でいつものように女達に囲まれていた。
「あのね、これ一生懸命作ったの…食べてくれる?」
「あ〜、抜け駆けしちゃ駄目〜っ!!ねぇ、アタシの作ったヤツも食べてよ〜!!!」
女達はみんな「自分が作った」と称してクッキーやらなんやらを持って来る。
「ごめん…。悪いケド、オレ、そういうの受け取らないようにしてるんだ…」
オレは営業スマイルとは思われないように笑みを浮かべそう返した。
「でも、思いだけは受け取っておくよ。」
勿論、フォローも忘れない。
オレの名前は、北條冬真(ほうじょうとうま)。私立翠月学院高等部1年4組。好きなことは、女遊び。嫌いなことは無駄な出費。
(ふっ…このゲームももうすぐ、後少しで終わりか…)
思ったより簡単だったな、と思いつつ顔を上げる。
オレは今、学年の女子全員をオトすゲームをしている。
最初は同じクラスの女子全員をオトすつもりでいた。…のだが、いつからかほかのクラスの女子まで広まってしまい、このようなゲームになった。
後残っているのは、と考え校舎の方を見ると2組の仙宮春華がいた。
仙宮春華。ルックスも悪くないし、性格もいいらしい。
ただ、難点があると言えばいつも男と一緒に居ることだ。
(ま、そこら辺はおいおい考えて…)
オレは春華(達)に向かって営業スマイルを向けた。
すると、春華は顔を背けて隣の男と話し始めた。
「…あれぇ?仙宮春華じゃない?」
するとオレの近くにいた女が声をあげた。
「…本当だ。アイツいつもいとこと一緒にいるよね」
「だから〜、あの2人付き合ってるのかなぁ?」
「さぁね」
オレはそんな女達の話に興味を惹かれ、そのうちの1人に声をかけた。
「何?仙宮さんって付き合ってる人いるの?」
「え?あ、ううん。そういうことじゃなくて、あの2人いつも一緒にいるから…」
付き合ってるのかなって、という言葉が返って来た。
「まぁ、冬真には関係ないよね☆早く帰ろ♪」
そう言ってオレの腕を引く女に向かってほかの女が、
「あ〜!麻奈抜け駆けしちゃだめ!!」
「え〜!冬真ぁ、今日はアタシと帰るんじゃなかったの?」
「早い者勝ち♪さっ、帰ろ?」
一緒に帰るとか勝手に約束されたオレは、麻奈(まな)