で対人恐怖症を持ってしまったのだ。

「秋斗…私は今までいろんなこと頑張ってきたと思うよ…。そもそも、私が精神科医になりたいのは私と同じ病気で苦しんでる人達を助けて上げたいからだもん。…でも、」
もう無理、と弱々しい声で呟く私の頭を秋斗は優しく撫で、
「うん。春ちゃんはこれまでにたくさん嫌なこと我慢してきたよね…。でも、春ちゃん。よく考えてみて?今までにも、そしてこれからにも、春ちゃんに助けられる人はたくさんいるよ?だって…」
僕がそのうちの一人だもん、と秋斗は、おどけた風に、しかし口調は至極真面目に言った。

秋斗も、(詳しい病名は知らないが)心の病に罹っている。
彼の場合、私以外の女子と話すことができないのだ。
理由は詳しくはわからないが、多分幼い頃親戚の家で暮らしていたからだろう。
彼の親戚は女が多く、その女達に色々とされたらしい。

「うん…。」
私が頷くと、秋斗は私の頭を撫で、ふふっ、と笑んだ。

その日の夜、秋斗は私が寝るまで頭を撫でてくれていた。