年3組。
…まぁ、俗に言う「いとこ」というヤツだ。

だけど、たとえいとこでも私の安眠を妨害するのは許せない。

「ちょっと秋斗、教科書借りに来るのはいいけどさ…少しは考えてよ…」
折角眠れそうだったのに…、などと文句を言う私に秋斗は笑いながら、
「やっぱり『考え事してた』って言うのはウソなんだ♪だよね〜、春ちゃんが考え事なんてないよね〜☆」
と言った。…いとこじゃなかったら蹴り飛ばしていたところだ。
そんな私の心境なんかお構いなしに秋斗は続ける
「うんうん♪『あの』春ちゃんに限って考え事はないよね〜☆心配して損した〜…」
そこから先は言わせなかった。
私は椅子から立ち上がると手近にあった本で秋斗の頭を叩いた。
パチンッ、という擬音が聞こえた。

「っ痛ぅ…何するのさ春ちゃん…」
頭を抑えながら涙目になっている秋斗に私は冷たく、
「自業自得でしょ?ほら、早く戻らないともうすぐチャイム鳴るよ?」
と言った。こういう時は冷たくあしらった方が秋斗には効くのだ。
はーい、と秋斗は頭を摩(さす)りながら自分の教室へと帰って行った。