そして春……
高校3年になった俺には
もう進路先が決まっていた。
もちろん、新体操をするための大学であった。何一つ不自由のない施設が完備されており、オリンピック選手を育てるための場所でもあった。
俺の他にもう一人、同じように新体操をしていて進路先が決まっている奴がいた。
ー廣瀬勇樹ー
入学してから今まで、ずっと一緒にいる俺の唯一の親友。
勇樹は入学して直ぐに打ち解けた。アイツは俺とは違い、新体操のことを誰よりも考えていた。
そして、勇樹もイケメンだから女子対処が大変であった。しかしアイツは、巧妙に女子を操った。
まぁ悪くいうと、ただのたらしだ。でも無愛想な俺からすれば、感心するしかなかった。
勇樹には何人か彼女もいたが、別に好きでもなかった。
俺にも以前はいたが、今はどうでもよくなっていた。