いつもの帰り道。
私には、そこそこ友達はいるが、みんな帰る道が違うから一緒には帰らない。
でも、私はこの時間が好き。

「♪~♪~」

人通りの少ない道を通るから、思いっきり歌える。
空には夕日が沈みかけていて、風の音と私の声しか聞こえない。
その時・・・

「君!ちょっといい?」

後ろを振り返ると、黒のスーツを着た180㎝くらいの薄い男が立っていた。

(え~!変質者!?ガリガリじゃん!!
どうしよう・・・。逃げるか・・・。)

「えっと・・・失礼します!!」

私は全速力で家まで帰った。
家に着いて、気づいたこと・・・

「生徒手帳がない!!」

落としてしまった。無我夢中で走ったから、手帳を落としたことに気付かなかった。
明日、探すか。
私は特に困らないので、そのままにしておくことにした。