それでも世界はまわる -white snow-

軽く全体を見回してみるが美緒奈の姿は見当たらなかった。

その代わり、りおんと目が合った。

「あ、りおん君・・・!」

美佳が呼ぶと、彼は普段しないような傷付いた表情をして、行ってしまった。

「・・・りおん君・・・」

美佳は肩を落とした。

「よく神楽君の前に顔出せるよねー」

「ほんとほんと、最低だけぇ」

さらさらのストレートヘアーをかきあげながらクラスメイトの二人は話す。
わざと美佳に聞こえるような声量と、それでいて存在を無視しているような態度。
そんな彼女たちの陰険さには腹が立ったが、よくよく考えれば慎吾との子供、慎佳を妊娠して結婚式を当日に取り止めた自分が悪く、怒り出す気にはなれなかった。