それでも世界はまわる -white snow-

「え? なに? どーしたん?」

美佳は慎吾を覗き込んだが、彼は黙って目を瞑った。

再び名前を呼ぶと、同じようにやわらかな瞳で彼女を見つめ、照れたように傷のある鼻をこするのだった。

「行こっか」

「え?」

それからぐいっと美佳の手を引っ張る。

赤ん坊もしっかりと胸の位置に固定されており、それから泣き出すようなことはなかった。