嗅覚が極めて鋭く、十キロ離れた人間の体臭を嗅ぎわけることが出来る。この特徴を活かして災害や事故などの人命救急に従事する者が多い。

 また手先が器用であり、身の周りにある生活用品から各国要人御用達の調度品を輸出しており、その文明は高水準である。それゆえに数多くの芸術家や文化人を輩出している。

 この民族の歴史的背景を見ると、彼らシェイン族の待遇は極めて冷遇され、悲惨なものであった。人間族(※便宜上、このように名称をつけた)が、その身体的特徴と性格を利用し、古くは奴隷として扱っていたのである。

 大国間の戦争の際には多くのシェイン族が無理やり兵士として駆り出された。夫婦や恋人達、家族は引き離され、国家という大きな圧力によって女子供を人質にされ、否応なしに戦場の最前線に引きずり出された。

 戦う相手も同じような境遇のシェイン族の兵士達。同じ民族が自身の家族、恋人に生きてまた再会するがために盾にされ、銃弾を浴び、サーベルで斬り合い突き刺して、同胞の血を浴びた。

 すなわち顔の知った者同士、親友同士で殺しあったのである。