「それが白蕗 更紗さん、君との出会いだった」
だから彼があの時に、
『オメー、俺の存在知らずに来たのか?』
そう言ったんだ―――。
彼は私の存在を、
名前を知っていたから。
「それからだったよね?
ハルちゃんに生気が入ったかのように、勉強とかいろいろ熱が入ったようにしたのは」
「あぁ、…余程、白蕗さんに抜かれないようにと必死だったのだろう」
すごいなと私は思った。
…塞ぎ込んでいた自分の気持ちを曝【さら】け出すのは、並大抵の努力や勇気じゃないはず。
私なら、できない。
…そんな彼にすごいと思う反面、
私は絶対に一生、彼には勝てないと思った。


