「きっと私、白蕗さんと同じことを思ってる」
「…え?」
「白蕗さんの考え…というか、思いはわからないじゃない。
寧ろ、わかるわ」
同じような家柄、世界に生を受けた故【ゆえ】に、私達はきっと同じような末路を辿る。
―――それが例え、好きな人とであろうが、
…何も知らない水知らずの人であろうが。
「…私もね、お見合いとかすごいの。
今までにもう5、6回は裕に越えてる」
「…」
「…私はね、ずっと好きな人とがいる。
…けど、家柄故に…結ばれる事はないかもしれない。
でも、
…その人が跡を継いだ時に役に立てるなら、
…私がその人以外の人と結婚したことによって、その人の役に立てるなら。
それで良いと私は思っているのよ」
苦しそうな、悲しそうな、…でもどこか幸せそうな顔をしていた。
…同じ、考え。
私も兄様やお祖母様のお役に立てるならと行ったお見合い。
―――だけど。
その考え方は、
少し私にはまだ難しいようだった。
―――いや、できなかった。
やっぱり自分で選んだ人と恋愛して愛を深めて、結婚してっていう理想が捨てられない。
それがずっと夢だったから。


