椅子に座って、
雛鞠…さん?を横抱きしながら、私と話しているという只今の状況。
「…あの…私も先生に話したいことがあるんですけど」
「…何だ?」
「…でも今、話すような話じゃないので、教室に帰ってもよろしいでしょうか?」
私は顔を引きつらせながら言ったであろう。
いや、だってね?
あんな状態で言われて、
目のやり場にも困るし、
雛鞠さんが先生の首に絡めて私を見る。
「でもあたし、話があるんだよねぇ」
「え?」
そう言えば、そう言っていたっけ?
「あたしが白蕗さんにお話があったのはねぇ?」
「…あ、はい」
「ハルちゃんがコレ、渡してくれって言われたからなのよぉ」
首から手を離して、
ぴょんと先生の上から降りて、
一枚の紙を私に渡してくれた。
その紙には、
『今日の放課後、渋谷駅で待ち合わせ』
と短く書かれていた。
「…ハルちゃんって誰ですか?」
「…そこからか」
「もぅっ!そんなところも白蕗さんったらかーわいーっ!」
いや、あなたに言われたくはないよ。
雛鞠さん?


