「来客用の部屋行こうとしてたんだろ?
なら、俺の部屋来れば良いよ」
「え…でも…」
兄様の格好からして、今仕事から帰って来たような格好。
疲れているのに、私が居据わっちゃ駄目だ。
そう思い、私は『いいです』と言おうと思ったら、それを察したのか、
「そんなこと気にするな。
疲れちゃいねぇよ。いつものことだしな」
「でも…」
「いいんだよ、俺が更紗と久しぶりに話したいんだから」
ニコッと悩殺スマイルを披露してくれた兄様。
我が兄様ながら、本当にかっこいいと思う。
スラッとした長い手足に女の子並みに小さな顔。
まさにモデル体型で、
それにオーダーメイドであろう、自分のサイズにぴったりのちょっとオシャレなスーツを着て、
ワックスで後ろに流すように固めた髪。
スタイルもいいし、ルックスもいいし。
それにプラス性格もいいし。
完璧すぎて本当に、兄妹かと疑う時もある。
「それに、ここだと更紗は敬語で話さないといけないだろう?」
『血の繋がった兄妹であろうと、“親しき仲にも礼儀あり”です』
とのお祖母様からの教えにより、私は兄様に敬語を常に使っている。
…外では。
2人きりの時は敬語無しで話しているんだけど…。
「…まぁ、でも…」
「俺が嫌なんだよ。
だから早く」
「じゃあ、お言葉に甘えて…」
私は兄様の部屋に行くことにした。


