「あの」
「なんだ」
こんなことをしていても、絶対に私は口では勝てないと思う。
「私、眠たい、なぁー…なんて」
えへ、と笑いながら私も言ってみた。
だって、寝不足気味なんだもの。
安心した途端に、私は急に眠たくなってきた。
私は弱味を握ったんだ。
彼の。
なら、ちょっとぐらい寝てもいいよね?
なんて浅はかな考えが頭によぎったため、言ったのだが。
「てめぇ俺をバカにしてんのか」
「いや、滅相もないっ」
『見合いの場で寝るなんざ聞いたことない』よりも、何よりも先に、
『バカにしているのか』
…いやいや。
誰があなたをバカにするんだ。
あなたみたいな、イケメンさんを。


