「…え」
私は目を見開いた。
…空耳だろうか。
なんか…『疲れた』って聞こえたような…?
私じゃない。
かと言ったら、考えられる人物は1人しかいない。
この部屋には私と彼2人だけ。
でも…まさかね。
そんな訳がないじゃない。
まさか。
…まさかね。
彼である訳がない。
その視線に気付いたのか、
「…あぁ、こっちが素だから」
シラっと申し訳なさそうもなく、かと言って『ヤバイ』といいそうにもない表情で言った、彼。
え。
まさか。
まさかだよね?
この人、誰よ?
想像が覆【くつがえ】された。
けどこれってさ…
ある意味…


