それに。
今だに本家のお庭に咲き誇っている“ビオラ”の花。
あれはお祖父様が植えたものだと。
そう聞いたことがある。
『どうしてビオラなのかな』とずっと疑問だったけれど。
でもやっとわかった。
ビオラの花言葉は、
―――“誠実な愛”
お祖母様に宛てて、植えた花だったんだ―――。
「……あなたはいつからそんなに偉そうになったのです」
「…すみません…」
「……ですが」
「?」
「…ありがとう」
お祖母様の表情は、今まで見た中で一番優しい表情をしていた。
……年齢関係なく好きな人を想うと、優しい表情になれる。
“好き”の力は偉大だと。
そう思った。
「…お祖母様…」
「…拓哉はお父様…実篤の父にそっくりですが、あなたはまるで実篤そっくりですね」
「…立派だったお祖父様に失礼ですよ。私なんてまだ未熟…。
…けど、いつか絶対にお祖父様のように…いえ、それ以上の高みを目指して頑張っていきます」
……いつか。
いつの日か、お祖父さまのように立派な人に。
誰からも信用され、誰からにでも愛されるような。
そんな人に。
そして、
生涯ずっと、1人の人を愛せるような。
そんな人になりたい。
そんな人と出会えますように。


