「お祖母様」
「…」
窓の外を見ていたお祖母様が静かに私のほうを向いた。
……勘違いをしていたよ。
……私は、
「……むかつくことも、反論したくなる時もあるけれど、
今でも私はお祖母様のことが好きです」
お祖母様。
私は“白蕗家”のために頑張るんじゃない。
“お祖母様”のために頑張るんだ。
「…いつか……遠い先の未来になると思うけれど、お祖母様が私に『任せて安心』と思えるような人間になって、
……なったら、お祖母様のお役に立ちたいです。
……無力な私にはできないかもしれないけれど、いつか。
お兄様と一緒に、お祖母様の支えになりたいです」
私は、そう断言した。
……いつか、いつの日にか。
お祖母様の“左腕”“右腕”と呼ばれるまでに成長したら。
そしたら、
「親孝行じゃないですけど、今までのお礼をしたいです」
これが、私の夢だ。
……幸せな家庭を築きたい夢も、変わってはない。
けど。
今の目の前にある幸せを掴んでからでも遅くはないんじゃないかな、って。
そう思うの。


