「くだらない昔のことを引きずってる暇があるなら、遥翔に真意を聞いてみなさいよ!」 それくらいできるでしょうが、と鬼の形相で私に言う。 できる。 できるよ、それぐらい。 ーーー普段の私なら。 何の戸惑いもなく、普通に。 だけど。 今は少しだけ、抵抗がある。 「美月さん、私は臆病なんです」 そう。 私は臆病者なの。 「臆病だから、私は真実が知りたいと思っていても、聞けない」 知りたい。 知りたいのに。 結局逃げるだけになる。