「暁煌、ちょっとお出かけしてくるね」
「僕は?」
「暁煌は奏紗を見ててくれる?」
「はーい!」
家を出て行くわけではないのに、暁煌を連れていこうとはどうしても思えなくて。
今は一人でいたい。
ただそれだけなのに、なぜだか私はもう、この家には帰って来ないつもりでいるのはどうしてだろうか。
私は暁煌の頭をなでて、
「じゃあ、言って来るね」
と言って出た。
後ろからは、
「奥様!」
「更紗様!」
と呼ぶお手伝いさんたちの声。
疲れたの、もう、何もかも…。
ちょっとだけ、離れさせてよ…。
私は心の中でそう言いつつ、出て行く。


