「お母様?」
「……暁煌…」
部屋を出て行こうとしたとき、ティーカップを持った暁煌がいた。
…そうだった、暁煌にお願いしてたんだ…。
「申し訳ございません、奥様。
暁煌様がどうしても奥様の元にお持ちするとお聞きにならなくて…」
「ふふ、そうなの。
…ありがとね、暁煌」
ティーカップを受け取り、少し飲む。
「ううん!いいよっ。どうしたの?お母様」
「…ごめんなさいね、暁煌…」
ごめんね、暁煌…。
弱いお母さんでごめんね…。
心の中で、謝る。
弱くなかったらきっと、何てことない顔で、『暁煌』って呼んであげられるんだろうけれど。
私は強くはないから。


