私は幼いころから家庭教師を付けられて、兄様ほどではないけれど、私も毎日のように机に向かわされてた。 だけど、幼い私は外の世界をあまり知らなくて、反発することさえも知らなかった。 そんな私に、 『更紗』 『あ、おにーさま!』 お兄様はいろんなことを教えてくれた。 『更紗、ここから出るから、そのワンピースの上にカーディガン羽織な?』 『でも更紗、終わってないから…』 『いーんだよ!』 『うん!』 その頃の私の世界は、お兄様だった。 お兄様が私の小さな世界を広げてくれてた。