…どうして。

どうしてお祖母様が知っているの?


私、一言も言ってないのに。



「…更紗、本当はあなたはどうしたいのです」

「え…」

「お見合いをしたくないのなら、…断る事も可能です。
あなたの一度きりの人生なのだから、あなたが決めなさい」



そうだ。
そうだった。


お祖母様は『〜しなさい』と命令口調で仰るけれど、

…半強制的のように仰るけど、


最終の決断は自分で決めさせてくれてた―――。


…とことんバカだな、私は。

こんなことにも気付かないなんて。



「…いえ、お祖母様。
私は、予定通りお見合いをします」

「…それでよいのですね」

「…はい」



“しなくて”後悔するぐらいなら、
“して”後悔した方がいい。

そう、思うから。



「…何度も言いますが、私も少しでも、白蕗家のために何かお役にたちたいんです」



…政略結婚で役に立っても、と思うかもしれない。

でもそれによって、
少しでも白蕗の今後に期待できるようになるのなら。


その“少しの可能性”に賭けてみようと私は思う。

…―――たった一度きりの人生だから。