室畑さんは突然、そう言った。
「ーーーはい」
「悲しいことも、怒りたいことも、立ち直れなくなるくらいのことも。
たくさん人生の中には数えられないくらいあります」
「…はい」
「ですが、それと同時に楽しいこともたくさんあります」
「…」
「笑ったり、驚いたり。
いいこともたくさんあります。
だから、全ての人間に同じだけ与えられた人生を、どれだけ必死で足掻いて、もがいて生きていくかは、自分次第なのですよ」
ーーー心に、強く響いた。
『全ての人間に同じだけ与えられた人生をどう生きていくかは、自分次第』
そうだよ。
そうだよね。
私は、後悔したくない。
だから。
「…室畑さん、ありがとう」
「…お礼を仰るのは早いですよ、お嬢様」
「え…?」
「…相澤ーーーいえ、遥翔様にお伝えになって来てからです」
「…ふふっ、わかったわ。
じゃあ待ってて、室畑さん!」


