遥翔はジーンズに、赤のシャツにベストという、ラフな格好をしていた。
…その格好からして、追う気満々だったってことなのかな…。
「あのねぇ、確かに私は遥翔が好きだけど、こんなことされたら―――」
「だって、言わねぇだろ?」
「え?」
「…―――今から真帆と会って、もし何か真帆に何かされたって。
更紗、お前は何も言わねぇはずだ。
だから、この目で見守るつもりだったんだ」
…遥翔。
…実の所、かなり私も不安だったんだ。
―――何を言われるのか。
―――何もされないだろうか。
不安で不安で堪らなかった。
昨日の夜、
あれから何度遥翔に電話を掛けようとしたか。
―――それは数えられないほど。
だけど、そこで私がそんな怖気付いたんじゃ、私は負けだと思って。
だから私はここまで一人で来たのに。


