「…出てきなさいよ」 出てきたのは、 「…申し訳ございません、白蕗様」 黒い燕尾服姿の、まだ30代前半であろう、若い男性だった。 ―――蓮【はす】の花。 「…そのピンバッジは相澤家の者ね」 「…ご察しの通りにございます」 ピンバッジによって、どこの家の執事なのかがわかるようになっている。 例えば、 白蕗家だったら、アネモネ。 他には睡蓮や百合、菊などいろいろある。