「じゃあ私、行くね」 そう言って私はソファーから立って、部屋を出ようとした。 その時。 「…更紗」 兄様が私を呼ぶ。 「お前は、もう俺の自慢の妹だよ」 …兄様。 ありがとう。 「…だから、胸を張って行け」 「…」 「胸を張って、自分が『白蕗の令嬢』なのだと誇りを持て」 「…兄様」 「…更紗、頑張ってこい」 「…」 「更紗なら、お祖母様の期待に応えられるから」 結局、兄様に後押しされてしまった。 兄様。 兄様はいつも私の背中を押してくれたね。