私達は109から出て、ブラブラとウィンドウショッピングをしていた。
「久しぶりに買い物したから楽しかった!」
「俺も。また行こうな」
「うん!」
私達は笑ってた。
―――この時までは。
「…―――もしかして、遥翔?」
私じゃない、
『遥翔』と呼ぶ、他の女の子の声がした。
…誰?
後ろを振り向くとそこには、
―――すごく美人な女の子がいた。
セミロングのキャラメルブラウンの髪、
スラッ、と長く細い手足。
高い鼻、ちょっとつり目で形のいい口。
顔のパーツは一つ一つ整っていて、それを引き立てるようなあまり濃すぎないメイク。
20歳、と言ってもわからないくらいに大人っぽいその彼女は、制服を着ていた。
…―――と言うことは、高校生。
「遥翔!ねぇ、遥翔だよね?!」
お願い。
知らないって言って。
…そんな願いも虚しく、
「……真帆【まほ】」
彼は彼女を知っていた。
それも、
―――名前で呼ぶ程、親しい関係だったみたいだ。
…ズキズキと胸が痛い。
何なんだろう。
この気持ちは。
ほんと、この間からおかしいよ、私。
この胸の痛みの正体は、
一体なに…?
「3ヶ月ぶりだよね!」
嬉しそうに、顔を真っ赤にして遥翔に言う、真帆さんと呼ばれたこの女の子。
…あぁ。
この子は、遥翔が好きなんだ。
そして、分かってしまったかもしれない。
彼女はきっと、
―――遥翔の元カノだ。


