「俺は後からでいいから、更紗先に見ろよ?」 この間の、まるでドラマでイケメンが主人公に微笑むような感じでじゃなく、 …心からの笑顔のような気がした。 …俗に言う、“営業スマイル”と言うヤツではなく。 「…」 それに私は不覚にもまたドキッ、としてしまった。 ドキドキとなって、鳴り止まない心臓。 …やばい。 鳴り止め、心臓。 「あ、じゃあ、…遠慮なく…」 私は照れを隠すようにエスカレーターに乗った。 …後ろで私のあからさまな態度を見て、クスクスと笑っている遥翔に気付かずに。