だから待ってほしい。
と私はそんな願いをこめて、視線を送った。
すると、
「…じゃあ、遥翔って呼べ」
「え!?」
ちょっとちょっと。
今の話、聞いてくれてた?
そうも聞きたくなるようなこの返答に、私は思わずガクッとなった。
「恥ずかしいんだか何だか知らねぇけど、名前くらい呼んでくれてもいいんじゃねぇか?
…―――更紗」
「…っ」
耳を擽【くすぐ】るようないつもより低い声で私の耳元で私の名前を言った。
―――ズルい。
ズルい、ズルい。
ズル過ぎるよ。
私ばかりドキドキして。
今日も、この前も。
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