恋する! マトリョーシカ



「私も。
 私もふられました。
 頑張ってダイエットしたんですけど。
 本当に頑張ったんですけど。
 ほら、まだまだデブじゃないですか。
 それで……
 『細い子が好き。
  二度とこういうことはやめて。
  迷惑だ』
 って言われちゃいました」

 あ~あ。
 私なんで先輩にこんなこと。
 困らせるだけなのに。

 俯いたまま一気にしゃべったので、先輩がどんな顔をしているかはわからない。


「それで……
 ショックで、あんな体育館裏なんかで倒れちゃって」

「いや、栄養不足でね。
 栄養不足で倒れたんだよね」

 すかさず先輩の突っ込みが入る。
 もうそこはスルーしてくれればいいのに。


「そんなやつ、好きになる価値なんかねぇ、クソだと思うけどな。
 大体断り方ってもんがあんだろ?
 それに、細い子が好きっつってんなら、もう完全お前はアウトじゃね?
 アウェイじゃね?」

 先輩は、慰めてくれるのかと思いきや、軽い口調で残酷な言葉を吐いた。