隣で勇が散々何か言ってるが、一切聞こえない。


相ケ瀬の言葉が、頭の中で繰り返される。


色々なオレの決意は――――……こんなにも脆かったのか。


何が『負けたくない』だ、何が『話してみる』だ。


紀香の気持ちもよく考えないで、ただ許されたいが為に謝罪しようとしていた自分に、腹が立った。


「紀香……」


この時相ケ瀬の言う事なんか無視して、早く紀香を探して抱きしめてれば余計に傷つけなくて済んだのに……


オレは、更にマイナスな事をしてしまっていた。


ごめんな―――――……紀香………