「ねぇ、連右………私倉庫の掃除した時、言ったよね?“そのままの連右を、私の前だけでは出してて”って」


顔をオレの胸に押し付けたまま、紀香が話す。


確かに…言ってたけど……心臓がバクバクし過ぎて大変なんですが!?


「紀香、離れ……「笑わないでよ」」


………は?


「何か嫌な事あったんでしょ?だったら……ムリして笑ったり、しないで――――」


紀香は、決して顔を上げずに、言い切った。


―――――ああ……そいやコイツ、入学式でオレが悲しがってたの………見抜いてたっけ。


どこまでスゴイんだ、お前は。