―陸人side


俺は最低だ。
沙羅を助けられなかった。


沙羅を見付けたときには遅かった。
立ち尽くしていた沙羅の目に光なんてなかった。


沙羅は無表情のまま俺に謝り続けた。
謝るのは俺の方なのに。



その夜沙羅は今日の出来事を消すために俺を求めてきた。

俺も一刻も早く沙羅を取り戻したかった。

感情を無くしていた沙羅は、俺と繋がった途端涙を流した。

それはどういう意味の涙なのか。俺は感情を取り戻したのだとすぐにわかった。


だからずっと「大丈夫だ」といい続けた。

沙羅を抱き締めながら。