じっと紙を見つめる有希さん。
「そうだったの…」
そう言って紙を机に置く。
「美音ちゃん…だっけ。今から帰って荷物をまとめてこれる?」
いきなり、なんだろう。
そう思ったあたしに有希さんはすぐ答えをくれた。
「ここで一緒に暮さない?ここの施設のコ、みんな良い子ばっかりだから」
突然でびっくりしたが、
たらい廻しされるよりは…いい。
「(では、今から帰って荷物まとめてきます)」
立ち上がったあたしの手を有希さんがつかんだ。
「待って。あたしも一緒に行くわ。色々と説明しなきゃでしょ?」
そうにっこりほほ笑むと、
「行きましょ、案内してね」と言われ、そのまま家に向かった。
――ガラガラ
「(ただいまー)」
そう心の中で呟く。
もうここは出るんだけどね。
「あら、美音ちゃん。どこまで行ってたの」
パタパタと走りながら来たおばさん。
「そのー、隣の方は?」
あたしが答えるのを代弁して有希さんが答えてくれた。
「あ、すいません。申し遅れました。あたしは【施設、太陽の花】で働いている
榛原有希です」
礼儀正しく頭を下げる有希さん。
そして、有希さんは色々とおばさんに説明していた。
