名も無き恋【短編】

彼にとっては

取るにたらない微量な時間だとしても、


私にとっては

それが孤独を癒す唯一の時でした。



ずっと独りぼっちでした。


いつも独りぼっちでした。



さみしくて、

かなしくて、

誰かに甘えようとしても

相手にされなくて。



なす術もなく、

どうしようもありませんでした。



だから、


毎日このひとときが訪れることが、


何よりも喜ばしいことでした。