「沙弥…」 俺は初めて沙弥ちゃんを…沙弥を呼び捨てで呼んだ。 そのことにびっくりして沙弥が目を開けた。 そしてさらに驚いただろう。 あとちょっと近づけば唇にふれる。 でも今は我慢だ。 早く好きって言いたい。 早くキスしたい…。 俺は理性が崩れそうになりながらも必死で堪えた。 そして… 「ここは…ここは俺だけの距離だから。 誰にも渡さない」 そうだ。 誰にも渡さないし、触れさせない。