そしていきなり一人がナイフを取り出した。 「龍也くんと別れて。」 震えた声でそう言った。 「だから付き合ってねーから。」 声が震えないように力を込めて言った。 「龍也くんに近づかないで。」 「は?べつにあたしから近づこうなんてしてないし。 ってかあたしが誰に近づこうが、関係ないだろ? あんたに指図される筋合いはない。」 あたしはまた力を込めて言った。 すると、そいつはナイフを両手で持ち、 あたしに向かって来た。 逃げようとしても後ろは壁。 あたしは逃げるのをあきらめ、目をつぶった。