大学を中退してから一年が過ぎた。

高校を卒業した僕が次に選んだところは、あまりにも騒々しくて半年も経たないうちに嫌気がさしてしまった。

それでも僕が悲観的にならなかったのは漠然と思い描く将来に胸を踊らせていたから。

絵を描くのは昔から好きだった。

特にあてはなかったけれど、これで生きていけたらいいと思っていた。

何気ない風景を絵はがきにしたり、時にはその場で似顔絵を描いたりした。

当然たいした額になるワケじゃない。

昼はレストランでバイト。
食いつなぐ為に仕方なく、だ。

夜になるとこのさびれたアーケードに繰り出し、本当の自分をはじめる。

好きな服も買えない、食べるのもやっとだったけれどそれでも僕はそんな毎日に充実感をおぼえていた。