ひょっとしたら、この人はいろいろな問題を抱えていて、それに耐え切れなくなったのかもしれない


そう思った私は、止めるのを諦めた
しかし、ひとつ気になった事があったので言った


「あの、ちょっといいですか?」




「ま、まだなにか?」



「せめて、その木で死ぬの、止めてもらえますか?
できればあっちの木とか」

お気に入りのこの木で死なれては困るので言った



すると男の顔が一気に暗くなり、独り言のように呟いた
「止めてくれないんだ……」





それを聞いた私は男に言った
「本当は死にたくないんでしょ?」



すると男は黙ってしまった




やっぱり、と思った私は言った
「そんなとこにいないで、降りたらどうです?」




「ぼ、僕は………!!」

男が何かを言おうとした時、男が乗っていた木の枝が折れた



「うわっ!」
と、男は声を上げて、お尻から落ちた