「外、掃いてきます」

休憩終わり、店内の混み具合を見てちりとりと箒を持った

自動ドアをくぐると、照り付けるように注がれる日差し

浴びながら駐車場を見回し、ぽつりぽつり投げ捨てられているゴミを集める


「あぁ、桑井さん久しぶり」

一カ所に纏めても風下で舞い、また箒でかき集めるの繰り返し

その煩わしく思う風に紛れるのは男の声

顔を上げても、逆光ということもあり微かにしか見れなくて、そこまで多くない名前を呼ばれる相手と合致しない

手を掲げて日を遮ったところで、ようやくわかった相手の顔。心臓が跳ね上がった


「あなたは、あの時の…、お客様……」


それは橋本くんが最悪な態度で接客した、チンピラ風お客様だった


「久しぶり。あん時は世話になったな。って、覚えてるか、俺のこと」

「は、はい…もちろん」

「ふっ、まぁ忘れたくっても忘れられねぇか。かーなりビビってたもんたもんな」


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