「えっと、何だっけ。あ、荒らしか」

確認サインを記入したシフト表を戻しながら思案顔の先輩

「うーん…荒らし。いるよなぁ、同じ言葉とか意味わかんない文字打ちまくったり、芸能人のメアドやらエロ画像やらで釣ったりだとか」

先輩も経験があるのか詳しく語られるチャット事情に物悲しくなる

「もうネットの世界じゃ、当然過ぎて日常茶飯事にありつつあるんだろうな」

「…当たり前なんですね」

「って言ってもさ、フツーに和気あいあいしてるとこもあるんだし、なんだかんだそれは非日常な光景だから諦めるのはまた違う」

「……」

「許しちゃいけないと思うよ、俺は……なーんて真面目に語っちゃったよーっと」

後半おちゃらけたのは気恥ずかしくなったから。紛らわせようと頻りにメガネを指で上げながら、さぁ、開店だと促された

先輩の反応に思わず笑いながら、安心感が満ちていく

大丈夫、あの行動は間違ってなかった…よね?



まさか数時間後、真逆の感情を突き付けられるなんて、この時は思いもしなかった


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