「……いち、どうしたの、健一?」
名前を呼ばれて顔を上げると目の前は冷蔵庫。開きやすいように、ドア側面に施された窪みに手を当てたまま固まっていた
指先に触れるのは冷たくも温かくもない微妙な温度
「大丈夫?健一?」
「あ、うん。大丈夫」
その手を軽く振って離れると、母さんはまだ心配そうに見つめながら食器乾燥機のスイッチを入れた
ぐぉんと温風が流れる
「健一のバイトは明日もあるの」
「ううん。次は明後日でオープンから」
「そう。でも洗濯早く済ませたいから早起きしてね。さくらはまだテレビ見てるから先お風呂入っちゃったら?」
さくらはソファーでかじりついて、見ているのはクイズ番組。まだ時間が掛かりそうだ
とは言え、俺の後は嫌がる。先に入ったら、最近また避けるようになっさくらにどう思われるか
……取り合えず、お湯だけ入れておこう
それでタイミングが会わなかったら手短に済ませればいい。さくらが入りたいようだったら譲る
よし、それだ
そう思ってリビングから出ようとしたら聞こえてきた
『次の写真を見て、野菜の切り方の名称を答えなさい』
.


