受け取れなくて跳ね返り、床に転がってもさくらの視線はそっちじゃなくて俺に向けられてる
熱の冷めない、刺すような視線を受けて考え込む
確かにさくらの言う通り。橋本くんに彼女がいると知ったのは今日じゃない。もっと早く、聞いたその日に話すべきだったかもしれない
でも、それは出来なかった。黒翼のことでいっぱいいっぱいになっていたから……なんて、言い訳
言おうと思えば話せた
後回しに、先延ばしにしたのは自分。だって久しぶりにさくらから話し掛けてくれたから
もう会話する必要はなくなる。それに真実を話せばこんな風に落胆し、俺を憎々しく思うことは遅かれ早かれある。わかっていたのに
もう少しだけ、幼少期は無理でも前みたいな関係に戻りたかった。そう望んだことは
「……ごめん」
自己満足、ただそれだけだ
「…ごめん、さくら」
「……謝るくらいならしないで!」
長い長いため息を吐かれて、震える声に責め立てられる
「もう出てって!」
拾ったクッションをぶつけられる。直接的な痛みはそんなでもないのに、クッションを通して伝わる思いに苦しくなる
−−さくらの苦衷(くちゅう)はこんな物じゃないのに−−
わかっていたのに、俺はさくらに「思いを伝えたら」と提案をしてしまった
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