「話って?」
「あの…大体わかってると思うけど橋本くんのことなんだ」
さくらに話があると部屋に入れてもらい、ドアが閉まりきる前に急かされる
久しぶりに妹の自室に入った余韻に浸る間は与えられない
早く言わなければと差し迫った状況になり、ベッドに腰掛けてクッションを抱きしめるさくらに告げた
「単刀直入に言うと、彼には彼女がいる」
「………」
表情にも言葉にも出さなかったけど、クッションを握る手に力が込められた
ピンク色のフエルト素材の一部にしわが寄る
「本人に聞いたから確かなんだ。でも、俺は」
「……でしょ」
「えっ」
「最近聞いたみたいに言ってるけど、本当はもっと前から知ってたんでしょ?彼女がいたこと」
立ち上がったさくらの口調は冷静ながらも荒々しい感情が込められている
その見えない圧力に言葉が詰まる
「……何となくわかってた。きっと付き合ってる相手がいるんだろうなって。でもあんたは何も言ってくれないし、だから辛かった。何で早く言ってくんないのよ!知りたいって待ってる間ずっと苦しかったんだよ!?」
高ぶりに合わせて振り回してたクッションが自分目掛けて投げられた
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