「おはよう、橋本くん」
あれからまた横になったら二度寝してしまって、慌てて家を飛び出す
ギリギリだったけどなんとかシフト通りイン出来た。先に入っていた先輩に、そして橋本くんにも挨拶する。今日も一緒の橋本くんはレジ下で箸やストローを補充しながら返してくれた
「…おはよ、ございます……」
いつも通り軽く頭を下げるだけで、ろくに目も合わせてくれない
それでも、今休憩に入った先輩は、今日は早めに来ていたと言っていた。もしかしたら昨日それとなく伝えたのが効いたのか、なんて淡い期待を抱く
とは言え、まだ昨日の今日、そのことに触れるのは早いかな
「あの、」
「…ん、なに?」
「退いてください」
初めて声を掛けられたかと思いきや、邪魔だからと言いたそうにじっと睨まれてしまった
「あ、ごめん」
「………」
真横を通り過ぎて、また他の添付物の不足分を追加していく
テキパキと熟す姿は仕事の知識が増える毎に様になっていく。後はきっと愛想さえ良ければなぁ
「じゃあ、俺も補充してくる」
ぽつんと立ち尽くしていても仕方ないからと、おにぎりやサンドイッチ、お弁当がぎっしり入った緑のプラスチックのかごをカートに重ねて売り場へと運ぶ
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