そのまま制服から私服に着替えたみたいでしばらく戻ってこなくて、エビフライを満足いくまで頬張るとすぐに部屋へこもってしまった


俺はその部屋の前をまたやる瀬ない気持ちで通り過ぎる


可愛らしくドアの前に下げられる「さくらの部屋」と書かれたピンク色のプレートをじっと見つめる





桑井さくら、二つ年下の妹

現役女子高生で現在一年生。数週間後には二年生になる


幼少期は兄妹の仲が良くて、どこで行くにもずっと一緒にだった。遊ぶのもおやつを食べるのも、笑い合うのも、それは中学一年生まで続いていた


決定的に何かあったわけじゃない。ただ、日を追う度に頼りない兄と接することを嫌い、今では会話もしてくれない


別に妹大好きなシスコンじゃないから気にしないではいるけど、何となく寂しさがある



父さんも単身赴任の前は同じ気持ちだったのかな



なんて思ってしまうところがさくら曰く”キモい”のかもしれない


それでもぎこちなくなってしまった関係は口惜しく感じてしまう



俺は、未練がましいやつ、だ


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