「あんな風貌で威圧感だとトレーニング初日で初対面だったらびっくりするでしょ。だから少しでも慣れてる、二回目の桑井がいいかなって」

「慣れてる、ですか……」

「初めて見た時よりはマシだっただろ?」


選択肢を与えられているのかわからない、半ば強制的な問い掛けに曖昧に返す

実際は、一日二日で見慣れるほど目立ったタイプと深い交流はしたことがない

なんだったら、条件反射でもっとびくついてしまうほど。でもそんなこと言えるわけない


「まぁ、そういうわけだから」


そうか、別に頼られてるからとかそういうことじゃないのか


なんて、当たり前だよな……


これからもよろしく、そう言う為に立ち上がったんだろう店長


でも、これからも、と言いかけたところでドアの開く音がした


振り返るとそこに立っていたのは橋本くん、ほぼ手ぶら状態の彼は無言でこちらへと進み入る



「お、おはよう、橋本くん」

「……おはよ、ございます…」


軽く頭を下げて、置いたままのユニフォームを手に更衣室へ消えていった


静かな中に少しだけピリッとした空気が含まれている



「…じゃ、じゃあちょっと行ってくるから、あとよろしく……」


そそくさとその場を去る店長の背中はびっしょりと汗をかいていた


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