「健一、ご飯のお代わりいる?」


夕飯時、目の前に座る母さんに聞かれた。空っぽになった茶碗に視線を落としてから首を振る

「いいや。お腹いっぱいになったから」

ごちそうさまと両手を合わせ、箸は揃えて、茶碗に乗せた。台所の流しに置くとシンクで音が反響する

茶碗を水に浸けて蛇口を捻り、振り返ると俺の席の横にはさくらがいる

見慣れた妹の姿はすっかり夕飯時の光景になっていた

テーブルに置いたままのコップから水を一気飲みする

母さんに座ってゆっくり飲めばいいのにと言われたけど、もう部屋に行くからと答えてそれも台所に片付けに行ってそのままリビングを出る


コップにできた水面に映る自分は、思った以上にひどい顔をしていて、洗面所で鏡を見たけど大して異常はなかった

ただ、目が二重になっている。疲れると二重になるのは昔からの体質だと母さんに聞かされていた

今夜も早く寝よう

歯を磨き、いつもと違う自分の目を眺めていると、さくらが入ってきた


.