前は自然に避けていた視線。今はぎこちなく外していた
その変化に戸惑ったのは自分自身
こんな調子で授業も集中できるわけがなくて、ノートは誤字脱字の連発。シャーペンを走らせたところに消しゴムを掛けていく
何度も書き直しては注意散漫な自分に苛立っていく
何でこんなに間違えるんだ。何でこんなに失敗するんだ…何でこんなに、気になるんだよ……
転がり落ちた消しゴムに気づきもしないで、頭を抱えた
「ここ重要だからちゃんと覚えておくように」
先生の一言で、受験生たちは一斉にペンで印をつけていく。黒板の半ばに書かれた項目はまだ到達してなかったけど、忘れないよう先にマーカーでラインを引いておいた
「……っ、」
…またかよ
続きを写そうとシャーペンに持ち替えて間もなくまた誤った
あーほんとに、ほんとに
いい加減にしてほしい、頼む、いい加減にしてくれよ、俺
繰り返し使いまくり、今日大活躍のる消しゴム。手探りで掴んで、また修正作業を行う
−−あれ?
今度こそ間違えない
−−あれ、あれ?
意気込んだその予定は、見当たらないという状況によって狂った
−−えっ、消しゴム、無くなった?
.


