その日は日誌を提出して終了
でも、この日を境に浅川は俺にとって『特別な存在』になった
「ちょっと、お釣りまだですか!?」
休日のバイト中、原因の掴めない感情に気を取られ、同い年くらいの女子学生に急かされていた
「…しょ、少々お待ちください」
軽く頭を下げてお釣りを確認する
細かいのがないのか端数は出されず万札での支払い。先にお札を返して、次に小銭。手の平に乗せて確かめてもらい、手渡す
触れるか、触れないかの手と手
当たり前かもしれない
ドキドキはしなかった
それが乱暴にコンビニ袋を引っつかんだからか。きつく睨みながら退店されたからか。はたまた電話相手に店員がウザイと言われたからか
「おはよう、桑井くん」
「…おはよう」
結局何かしらの結論に落ち着かないまま、翌日も浅川と目が合った
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