カツンカツン、ポキッカキッ
切ない音を立てて、無惨な姿になった二本の白チョーク
一本は二つに、もう一本は三つに分かれた
「…あちゃー」
欠片を拾おうと俺と浅川は同時にしゃがむ
「ごっ、ごめんなさい…!」
「いや、俺は大丈夫」
一つ、二つと手の平に乗せ、三つ目に伸ばした指が
二人の指先がチョークよりも先の宙でぶつかり合った
「…っ!」
息を飲んで、すぐに避ける
自分の手なのに意思よりも早く振り上げ、その反動で後ろのチョーク入れに強く打ち付けた
「だっ、桑井くん、大丈夫!?」
衝撃の走る右手を欠方を握る左手で押さえる
「……だ、大丈夫っ、」
心配そうに見つめてくる浅川
彼女は自分にも責任があるからと案じてくれてる。だから、安心させないと
もっと、ちゃんと平気だって
言いたいのに言葉に詰まる。注がれる視線から逃れたくなる
相手が浅川で嫌がってるわけじゃない。痛い目にあって嫌な気分だからじゃない
寧ろ、指先には痛みで掻き消されてしまったはずの感触がまだ残ってる
じんわりと先端に感じるの血液の流れ以外の熱や温もりに頭の端がふわふわする
それはまるで酔ったような感覚。もしかしたら例の髪型の揺れで生じたことなのか
なんて、予想外で面白くない思い付き
でも、変なの……俺、変になったみたいだ
こんなにドキドキするなんて、その理由が自分でもわからないなんて
どうやら、ほんとにおかしくなってしまったようだ
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